令和3年の新年を迎えて
令和3年の新年を迎えて
令和3年の新年の御用はじめに当たり、ご挨拶させていただきます。
昨年は通常診療に加えて、新型コロナウイルス感染症対応に翻弄された負担多き年でした。皆様には、1年間、診療と病院運営にご尽力、ご協力とご支援をいただきまして誠に有難うございました。コロナ禍で、私たちの生活もすっかり様変わりいたしましたが、皆様に柔軟かつ献身的に対応いただいたおかげで、通常医療を中心に行うことができています。
また、イベントやセミナー、歓送迎会を開催できない、また参加できない不自由な社会環境となっていますので、人と会って話す機会が確実に少なくなり、私たちが大切にしてきたものが少なからず失われたようにも思います。しかし、このような時勢の中だからこそ、ゆったりと自分が支えられてきたものについていろいろ考えて、弱い人のため、大切な人のために、必要な医療を、強く、提供し続けられればと思っています。
私にはこの1年間に確信したことがあります。それは、『四国中央市の医療の責任を持つのは私たちであり、皆さんである』ということ。この度の新型コロナウイルス感染症に際しても、その役割を期待されて、多くの支援をいただきました。幸福や健やかな身体を守るために、医療人として何かしたいという誇りと使命感を胸に、連帯して行動できれば、きっと負けないであろうと思います。
私たちは、全集中で、私たちの責務を全うし、期待に応えようではありませんか。
それでは、今年目指すべき方向性について3点話します。
@診療と地域連携について
◇地域連携に関しては
ZOOMを利用した関連医療機関とのWEB症例カンファレンスを開催して、楽しみながら安心・安全なネットワークを構築できればと思っています。
◇特に、4月から増築棟の20床を地域包括ケア病床として稼働いたします。現在の21床と併せて41床になりますが、中核病院のあり方協議会では40床ほどの地域包括ケア病床が提案されております。それを有効に運用できるか否か、私たちの真価を問われる課題です。全科で協力して、粘り強く、工夫して運用していきましょう。
◇R3年4月からの精神科診療に関してですが、認知症疾患管理センターを維持し、認知症専門外来、一般病棟でのリエゾン、職域メンタルヘルスに特化した診療を継続してまいります。
◇その他、診療の拡大展開を提案いただいたり、新規開始を計画している診療科もございますので、順次、診療体制を整えて参りたいと思います。今、足りないところや補充が必要な分野も十分理解していますので、更に充実すべく取り組んでまいります。
A 次に、“職員が互いに信頼できる”しなやかで強い病院になるために
◇『人材育成と教育、その積極的支援』が最重要課題です。「一樹百穫なるは人なり」といいます。個々の成長と強みを生産的なものに繋げられるよう、引き続いて資格取得や更新、motivationの維持に尽力してまいります。皆さんの日々の業務の中から、明日のリーダーを育ててまいりましょう。
病院の、そして個々の更なる成長に情熱を注ぎたいと思います。
今秋に初期臨床研修の基幹型にチャレンジしようと思います。研修後どんな道に進むのか、どんな人生を送りたいのか、どんな研修を望むのか、価値観が違うことが前提ですが、与えられるものと掴み取るものがあり、常に評価されていることを教えたい。まず、選ばれる病院の土俵に上がれるように準備していきましょう。
B 職場環境の改善と医療安全に関して
1)まず、働き方改革と職場環境の改善に関してです
現在、日本は人口ピラミッドが、少子高齢化の延長線上で変化して、やがて、更に働き手が少ない社会に突入しようとしています。私たちも医療従事者、患者と病院経営にとってWIN-WIN-WINな好循環を生み出すために、少ない労働力でもパフォーマンスを発揮できる働き方へ舵を切り、老若男女の区別のない職場を構築し、皆さん、一人一人が個性豊かで多様な仲間として、楽しく、長く活躍していただきたく思っています。
職員と患者の命を守り、地域医療確保の観点がベースになりますが、@まず、年最低5日以上の年休取得を意識してくださるようお願いします。Aそして、当院は、2024.4月から適用される時間外労働規制A基準をクリアーできると思いますので、働き方改革に従って勤怠管理を施行していきたいと思います。
また、あらゆるハラスメントの撲滅への取り組みを行って参ります。それには、医療安全にもつながりますが、職員間のコミュニケーションが非常に大切です。医療チームとして機能するために、意思決定に際して、議論できる、何でも言える職場環境文化を醸成していきましょう。
2)医療安全に関して
現場では、成功と失敗が紙一重のことが少なからずあり、ものごとがうまくいっているのは皆さんが状況に応じて適切に調整してくれているからです。成功と失敗、いずれからも学び、価値観を共有し、信頼し合い、助け合って、普段行われているシステムの改善を図り、たえず向上をめざしましょう。
C 新しい中核病院に向かって
まず、建設候補地である三島医療センターの地の地盤調査が、昨年9月に終了しました。一部液状化対策が必要なところもありますが、災害拠点病院として必要な液状化対策工法を採用することにより、建設計画を進めて行くことが可能であるとの調査結果を得ましたので、今後、建設予定地として粛々と進めてゆくことになったことを報告します。
そして、一昨年来、1年余りをかけて、病床機能、入院、外来・救急等の機能別WGで課題を抽出・検討し、昨年末に要望としてとりまとめていただきました。その都度、丁寧に説明を行なってまいりますが、何時でも、建設的な意見やアイデアをいただければ幸いです。
□最後に
本年は丑年、丑は、物事の進み具合が遅いことを「牛歩」というように、ゆっくり、ゆったりとしたイメージがありますが、「丑」には、結んだり絡んだり、種子の中に芽が生まれているものの、まだ伸びることができない状態をも表しています。2021年、辛丑(かのとうし)は、社会が2030年までに達成すべきSDGsを達成するために行動する大切な一歩を踏み出す年です。travel(旅)とtraveil(苦労)の語源は同じです。多少の苦労は厭わずに、くじけずに混沌を生き抜く知恵を出し合い、牛の歩みも千里、一歩一歩前に進みましょう。
当院にとりましても、職員の皆様にとりましても、大きな希望が芽生える良い年になりますことを祈念いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。
本年もよろしくお願い致します。